IV. 結論

 情報通信革命と関連して考えると、世界のどこの門も閉じられない世を迎えている。このような点において、政府の対北政策も より毅然としなければならず、果敢に先ず開放する必要がある。用心深く開放する立場を推進する間に、周辺環境が急激に変化する可能性が大きいためである。 遮断して隠しているが、北朝鮮の積極的な攻勢に、我が住民個々人が無差別的に露出され、これに幻惑され得るためである。

 従って、北朝鮮の衛星放送も、全面的に開放し、新聞、ラジオ、テレビ聴取等、北朝鮮からの全ての放送通信手段を我が方が一方的に開放してしまい、北朝鮮の言論放送がいかに問題なのかを公開的に積極 広報し、国民個々人が自らこれを確認していくのが相応しいだろう。

 これと共に、北朝鮮がE-mailを含む各種情報通信手段を利用し、韓国住民を幻惑させる可能性に備えなければならないだろう。今後も加速的に拡張していくサイバー世界の属性を勘案すると、その唯一の対策は、事実上、成熟した国民意識に期待した透明性だけである。問題の素地を未然になくす次元において、国内外政策を公明正大に推進することである。そして、万に一つでも問題が発生した場合にも、先ず国民に知らせ、理解を求めることである。開放された社会に 相応しい民主的な政策を立案して推進することだけが唯一の選択である。

 近付くネットワーク・コミュニティにおいて、社会秩序をいかに確保するのかという問題を考えると、開かれている仮想コミュニティ(intangible virtual community)を法、制度を通して規律するのは、若しかすると、ほぼ不可能に近いだろう。人類の歴史が大きく見て、共同体から市民社会に発展してきたとすれば、 若しかすると、再び共同体社会に逆行するかも知れないと考える。結局、今後の社会は、法を通して強制する社会より、自律に基盤を置いた共同体的秩序により維持される社会が 相応しくなるかも知れない34)。結局、南北関係も、法、制度的規律の問題ではなく、個人の自律を考慮する方向に進展されなければならないだろう。

 社会全般に対しては、基本的に個人の自律を最大化する方向で政策が立案され、指向されなければならないだろうが、それにも拘らず、電子通信の発達が国家安保、個人安保に及ぼす悪影響を最小化するためには、国家的次元で北朝鮮のサイバー浸透、攻撃に備える体勢を作ることが必要である。特に、北朝鮮がハッカーを量産し、韓国の電子通信網に浸透し、国家と個人の各種主要情報を抜き取り、韓国の基幹通信網を撹乱する可能性を想定するとき、政府次元でこれに対応する体系的準備が必要不可欠であろう。このような点において、「10万ハッカ 養兵説」は、示唆するところがあり35)、また、我が国の軍隊が陸、海、空軍に引き続き、第4軍として電子軍を創設することも意味あることだと言えるだろう。

 勿論、情報通信の発達により、南北関係は、肯定的で、より公開的かつ透明な状態に発展し得るであろう。世界は、一層近付いており、北朝鮮で起こるいかなる些細な問題も、情報通信技術の発展により 瞬く間に全世界に公開される日も遠くないだろう。北朝鮮の核、ミサイル技術水準に対する情報は勿論だが、北朝鮮住民一人一人の一挙手一投足が知られれば、北朝鮮社会は、 閉ざされるが、世界は、北朝鮮を透明に見ることができ、それは、肯定的に北朝鮮の開放を誘導するだろう。従って、情報通信は、結局、南北関係を平和と統一に導く牽引車としての役割を遂行するだろう。

 サイバー時代には、ネチズン個人の社会的役割が過去のどの時よりも拡大している。これは、南北関係にも反映している。非政府部門の満面開花する時代の趨勢で、多様な民間部門の交流、協力が進行されつつ、政策は、 毅然化・穏健化する外ない。

 このような状況において、韓国が取り得る対北政策は、非常に制限的である外ない。即ち、周辺情勢のいかなる変化にも関係なく、一貫的に推進され得、また、周辺国が韓国のそのような政策を認定するくらいの公明正大な対北、統一政策がなされなければならないだろう。そのようになるとき、サイバー時代の南北朝鮮関係は、いかなる影響変数にも拘らず、平和と統一の方向に発展し得るであろう。

34)社会変化の速度が急速に短縮されている状況において、既に存在している社会的問題を規律するための法の実効性は、急激に萎縮するだろう。刑法を例に取れば、新しい刑法条項が発効すれば、即座に法を迂回する新しい新種犯罪が現れるためである。このような点において、未来社会では、 若しかすると、法より倫理、道徳的規制が強調されなければならないのかも知れない。孔子が『礼記』で語っているように、法は、事後に規制するのに過ぎないが、礼は、未然に予防するものである(礼者禁於將然之前, 而法者禁於已然之後)。

35)林チェホ、「ハッカー10万養兵論を暴く」、『月間HowPC』、2000年2月号 、http://www.howpc.com/howpc/200002/tech/11.htm.

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最終更新日:2003/09/23

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